≪完全初心者向け/いまさらきけない
 教えてほしい楽器のこと≫

こんにちは!元楽器店店長が答える
≪教えてほしい楽器のこと≫のコーナー
今回は「アコギとエレキどちらで始めるべきですか?」
についてお話ししていきます。
ギターを始めたいがどんなギターを買うべきか分からない
という方からよく受けた質問です。
今回もどうぞごゆっくり読んでいって下さい。

「全くの初心者はアコギから始めるべきだ。」
「エレキは上手になってから」
「家で練習するので、エレキはうるさいからアコギにしないと。」「アコギの方が簡単そうだ。」

等といったことを昔からよく耳にすることがあります。
実際に初めてのギターをご購入に来店されるお客様からも
同じように質問されることが多々ありました。

実際は、「初心者はアコギから始めるべきか、
エレキから始めるべきか」という答えに対しては、
「初心者が初めて手にするギターは、どちらでも良い。」
というのが正解でしょう。
ただし、どちらにも長所と短所があります。

それぞれのメリットとデメリットを理解することで、
『あなたにとっての正しいギター選び』の参考にして下さい。
さっそくアコギとエレキのそれぞれのメリットとデメリットを
以下でみてみましょう。

アコギのメリットとデメリット 

アコースティックギターのメリットとしてあげられる点が、
・重量がエレキに比べて軽い
・場所を選ばずどこでも弾ける
(電源を必要としない)
・耳あたりの良いナチュラルな音色


それに対してデメリットとしてあげられる点は、
・エレキに対して弦が太く堅い
(弦を押さえるのにある程度の力が必要)
・その堅い弦をしっかり正確に押さえないと音がきれいに出ない
・ある一定の音量が出るので、エレキに比べると

生音(なまおと)が大きい
(マンションやアパート等で、音量が気になる方には
部屋での練習には不向き)

等があると思います。

アコギは、構造上サウンドホールが付いた箱状のボディ
鳴らす事で音が出る仕組みになっていますので、
ある一定の音量はどうしても出てしまいます。
また、力強く箱を鳴らす楽器ですので、
弦の力も必要となってきます。

「サウンドホールにふたをしてふさいでしまえば
音が小さくなるのではないのでしょうか?」と
よく質問を受けますが、アコギの音は
サウンドホールからだけ出ているのではなく、
ギターのボディ全体から音が出ていますので、
サウンドホールだけをふさいでも、
消音・弱音効果はほとんどありません。

楽器店でサウンドホールのふたが販売されていますが、
用途としては弱音用ではなく、エレアコ使用時に
内蔵ピックアップマイクのハウリングを防止する
目的の商品です。

D'Addario PW-SH-01
Feedback Reducer


アコギの弱音器としては、弦の振動をスポンジで
はさみ込んで止めてしまう商品等が販売されています。
複数個つけることで弱音にはなりますが、
弦の振動を抑制しますので音程は取りにくくなります。
(詳しくは、アコギの弱音器についてで解説します)

グランドギター社
「弱音器」
画像の左端にある
クリップを外すと
右の画像のように
スポンジが現れます。

商品パッケージの
写真のように
サウンドホールとブリッジ

の間位の位置で弦を挟んで
弦の振動を減少させます。


アコギの特徴としては、正確に全ての弦を押さえきらないと
綺麗な音が鳴りません。
太くて強く貼られた弦をしっかり握りしめるように、
かつ正確に押さえないと鳴りませんのである程度の握力や、
弦を押さえる指先の角度等も注意が必要になります。
ある意味、正確な指使いを覚える必要がある楽器とも
言えますので、アコギで綺麗に音が出せるようになったら
柔らかいエレキの弦を押さえることは
楽に感じる事になるでしょう。

後々エレキギターも弾く前提で、しっかり弦を押さえる
という基礎を習得する為
には、
アコギからスタートする方がいいと思います。

エレキのメリットとデメリット

エレキギターのメリットとしてあげられる点が、
・ボディがアコギに比べて薄いので抱えやすい
・弦がアコギに比べて細く柔らかいので、

アコギよりも弦を押す力がいらない
エレキギターそのものから出る音が非常に小さいので
夜間の練習に最適
(サイレントギターとしての活用ができる)
・アンプを通せばヘッドフォンで音を聞くことができる

(アンプによっては、練習したい曲をヘッドフォンで聴きながら、
同時に自分の弾くギターの音も聴くことができる)


それに対してデメリットとしてあげられる点は、
・アコギに比べて重量感がある
・音を出すには、アンプとアンプ用の電源が必要
 
(直接ヘッドフォンを刺しても音は聞こえない。
ギターの出力規格が非常に小さいので、アンプで出力をあげないと

ヘッドフォンで聴くことができない)
・弦を軽く押さえても楽に音が出るので、

アコギに持ち替えたときに綺麗に鳴らせるために苦労する

エレキは、アコギのようにボディの箱を鳴らすのではなく、
ピックアップと呼ばれるマグネット式のマイク
弦の揺れを磁気で感知して音に変換する構造です。
アコギのように太く強い弦も、
箱のような大きなボディも必要としていません。


読者のなかには、夜しかギターを練習する時間が取れない
という方もいるかもしれません。夜に思いっきり練習したいなら
最初からエレキを選ばれてもいいと思います。

もし、アコギでどうしても始めたいが、
練習時間が夜しか取れず、音を出せる環境にない場合は、
サイレントギターという商品がヤマハより発売されています。
一般的なアコギ初心者セットの価格が、
1万円前後~2万円前後位である事に対して、
サイレントギターは、価格が7万円~8万円位になります。
ただし、サイレントギターはただ単に値段が高いだけ
ではありません。
アンプやエフェクトが内蔵されていますので、
直接ヘッドフォンで音が聴けたり、コンパクトで軽い点や
エレアコとしてライブでも充分に使用できる
(多くのプロミュージシャンが実際にライブで使用)など
優れた所がたくさんあります。

結論

最初はどちらにすべきだということはありません。
アコギで初めても、エレキで初めても大丈夫です。
練習して弾けるようになりたい曲が
アコギの曲かエレキの曲か」
で決めても良いですし、それぞれに長所短所を理解した上で
「環境に合わせてどちらかを決める」
ということでも良いでしょう。

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